ヒョウモントカゲモドキの飼い方

 

爬虫類が好きではない人でも知っている”ヒョウモントカゲモドキ”、英名のレオパードゲッコーを略して”レオパ”の通称で親しまれています。最も人気な爬虫類と言って異論はないかと思います。

「興味はあるけど飼育は難しそう。」
「衝動的に買ってしまったけど飼育方法がいまいち分からない。」
「飼育しているけどなんだかうまくいかない。」

そんなお悩みの解決に少しでも貢献できればと思います。

 

生息地

ヒョウモントカゲモドキはインドの北西部からパキスタン、アフガニスタンの南部に生息しています。本種の生息する地域はどのような気候なのか、生息地のほぼ中心に位置するパキスタンのジャコババードの月別平均気温を例に見てみます。

※以下の表の値は2019年12月時点での平年値です。

 

 

最も気温が高いのは6月で月平均気温が36.9℃、最も気温が低いのは1月で月平均気温が15.3℃となっています。

本種が夜行性で気温が下がってから行動を開始することなどを考慮すると通常の飼育適温は30℃前後であることが分かります。また、繁殖などのために冬眠を経験させる場合には20℃程度まで気温を下げると良さそうだということが分かります。

 

飼育ケージ

ヒョウモントカゲモドキの最大全長は20~25㎝、更に大型になる品種もありますがほとんどの場合この程度で成長が止まります。本種は地表性の動物ですが、高さのあるケージを用いて高低差のあるレイアウトを施すと意外に立体的な活動をしてくれます。観賞して楽しむという場合にはガラス製のケージがおすすめです。一方、管理のしやすさという点ではアクリル製やプラスチック製のケージがおすすめで温度管理や掃除、持ち運びやすさなどで優れています。

 

温度管理

前述のようにヒョウモントカゲモドキの飼育適温は30℃前後です。(ケージ内の温度勾配を含めると25~30℃)冬眠させる場合などを除けば常にこの気温を維持する必要があります。一般的なご家庭ではケージに対して保温もしくは保冷対策を施さなければ維持は困難です。そこで、各メーカーから爬虫類専用の保温器具が販売されています。

パネル式になっていてケージの下に敷いて使用するものが最も一般的で、ケージ上部に取り付けることでケージ内の空気全体を暖めるものもあればライト式になっていてケージ内を局所的に暖めるものもあります。試用するケージに応じてこれらの保温器具を使い分け、適切な温度管理を行います。

一方夏場に屋内が高温になる時には逆に保冷対策が必要となります。仕事や学校などで昼間に自宅を空けることが多い方もいらっしゃるかと思いますが、昼間の室内は意外と高温ですしヒョウモントカゲモドキを含むあらゆる動物において高温環境は生体に致命的なダメージを与えます。1日を通して飼育適温を大きく上回らない場所があれば良いですが、ない場合にはエアコンなどを用いて気温を下げます。

また、温度管理に欠かせないのが温度計です。現状の温度を正しく把握しなければ対策のしようがありません。必ずケージ内に温度計を設置します。

 

ヒョウモントカゲモドキは昆虫食です。飼育下では餌用に繁殖された昆虫やそれらを冷凍もしくは乾燥させたもの、専用の人工飼料を与えます。ベビーの時には成長に栄養が必要となるため毎日食べるだけの餌を与えますが、成長しきったら数日から1週間に一度餌を与えます。アダルト個体に過剰な餌を与えてしまうと肥満を引き起こし寿命を縮めてしまいます。可愛さから餌を沢山与えたくなるものですが生体のためにも餌は適度に与えましょう。

 

ヒョウモントカゲモドキの生息地は所謂砂漠地帯で、水切れに強いというイメージが先行しています。実際、水切れには強く数日水分を摂取しなくても平気な顔をしています。しかし、生物が生きていくうえで水分は必要不可欠でありヒョウモントカゲモドキも例外ではありません。水があって困ることはありませんしむしろ水切れを放置してしまうと生体にとって悪影響となります。他の動物ほど神経質になる必要はありませんが水切れには十分配慮が必要です。

 

ハンドリング

ヒョウモントカゲモドキが人気である要因の一つに“触れる”という点が挙げられます。確かに、本種は比較的温和で動きも遅いですから飼い主はストレスなく触れます。しかしヒョウモントカゲモドキにとって触られることは少なからずストレスになります。ハンドリングは生体に十分配慮して行いましょう。

では、ヒョウモントカゲモドキのハンドリングを行う際に気を付けるべき点を以下にまとめます。

 

生体の目の前から手をかざさない
目の前にいきなり手が現れると生体はびっくりしてしまいます。

尻尾で持ち上げない
尻尾に強い刺激を与えると自切してしまいます。切れた尾は再生しますが不格好です。

握らない
逃げないようにと握ってしまうと怪我につながります。手のひらを這わせるように触ります。

躊躇しながら触らない
躊躇せずにスムーズに取り上げることで生体に与えるストレスを最小限に抑えます。

餌の前後に触らない
そこまで神経質ではありませんが餌の直前は拒食、餌の直後は吐き戻しの原因となります。

 

むやみなハンドリングは生体に負荷をかけるだけでなく、噛みつかれる原因にもなります。お互いが嫌な思いをしないようにポイントを押さえて行いましょう。