ボールパイソンの飼い方
爬虫類が好きではない人でも知っている”ボールパイソン”、とぐろを巻いた姿がボールのようであることからこのように呼ばれています。
「興味はあるけど飼育は難しそう。」
「衝動的に買ってしまったけど飼育方法がいまいち分からない。」
「飼育しているけどなんだかうまくいかない。」
そんなお悩みの解決に少しでも貢献できればと思います。
生息地
ボールパイソンはトーゴやガーナ、ペナン共和国などアフリカ中西部に生息しています。本種の生息する地域はどのような気候なのか、生息地のベナン共和国、コトヌーの気候を見てみます。
年間を通して非常に温暖で、月の平均最低気温は約25℃、最高気温は30~33℃、平均気温は30℃です。
通常の飼育適温は30℃前後であることが分かります。
飼育ケージ
ボールパイソンの最大全長はほとんどの場合150㎝程度、更に大型になる個体もありますがほとんどの場合この程度で成長が止まります。人間ほどの全長になりますので非常に大きく感じられますが実際はとぐろをまいて過ごしていることがほとんどであるためそれほど大きい印象は感じられません。(200㎝程に育った本種の迫力はすさまじいです。)
前述のとおり普段は動き回ることが少ないため重要なのはケージの床面積です。育ち切った個体で90×45㎝程度の床面積が飼育が可能です。
温度管理
前述のようにボールパイソンの飼育適温は30℃前後です。(ケージ内の温度勾配を含めると25~30℃)冬眠させる場合などを除けば常にこの気温を維持する必要があります。一般的なご家庭ではケージに対して保温もしくは保冷対策を施さなければ維持は困難です。そこで、各メーカーから爬虫類専用の保温器具が販売されています。
パネル式になっていてケージの下に敷いて使用するものが最も一般的で、ケージ上部に取り付けることでケージ内の空気全体を暖めるものもあればライト式になっていてケージ内を局所的に暖めるものもあります。試用するケージに応じてこれらの保温器具を使い分け、適切な温度管理を行います。
一方夏場に屋内が高温になる時には逆に保冷対策が必要となります。仕事や学校などで昼間に自宅を空けることが多い方もいらっしゃるかと思いますが、昼間の室内は意外と高温ですしボールパイソンを含むあらゆる動物において高温環境は生体に致命的なダメージを与えます。1日を通して飼育適温を大きく上回らない場所があれば良いですが、ない場合にはエアコンなどを用いて気温を下げます。
また、温度管理に欠かせないのが温度計です。現状の温度を正しく把握しなければ対策のしようがありません。必ずケージ内に温度計を設置します。
餌
ボールパイソンは完全な肉食です。飼育下では餌用に繁殖されたマウスを与えます。ベビーの時には成長に栄養が必要となるため2~3日おきに1度餌を与えますが、成長しきったら1週間から2週間に一度餌を与えます。アダルト個体に過剰な餌を与えてしまうと肥満を引き起こし寿命を縮めてしまいます。可愛さから餌を沢山与えたくなるものですが生体のためにも餌は適度に与えましょう。
また、ボールパイソンを飼育していますと季節性の拒食が良く見られます。十分に加温しているつもりでも空気自体が冷たいこともあります、十分な環境を用意しているにも関わらず餌を食べない場合でも特に育った個体は6か月ほどの絶食には耐えることができます、むしろ焦って強制給餌などを行ってしまわないように注意しましょう。
やせた個体は背骨が浮き、皮が余ってしまいます、ここまで状態が落ち込んでしまったら何らかの迅速な対応が必要となります。
水
他のヘビと同様にボールパイソンは脱皮の際に全身を水に浸けます。
飲み水と兼用で全身が浸かる水入れを用意しますが、餌の頻度が低いこともありこの水入れの掃除は忘れがちです。好んで水中で排せつ行う個体もいますので、水入れの交換はこまめに行います。(それでも1週間に1回程度で十分です。)
ハンドリング
ボールパイソンが人気である要因の一つに“触れる”という点が挙げられます。確かに、本種は比較的温和で動きも遅いですから飼い主はストレスなく触れます。しかしボールパイソンにとって触られることは少なからずストレスになります。ハンドリングは生体に十分配慮して行いましょう。
では、ボールパイソンのハンドリングを行う際に気を付けるべき点を以下にまとめます。
生体の目の前から手をかざさない
目の前にいきなり手が現れると生体はびっくりしてしまいます。
尻尾で持ち上げない
ボールパイソンは非常に重たいです。その体重が1点に集中してしまうと生体にけがをさせてまう恐れがあります。
握らない
逃げないようにと握ってしまうと怪我につながります。手のひらを這わせるように触ります。
躊躇しながら触らない
躊躇せずにスムーズに取り上げることで生体に与えるストレスを最小限に抑えます。
餌の前後に触らない
そこまで神経質ではありませんが餌の直前は拒食、餌の直後は吐き戻しの原因となります。
むやみなハンドリングは生体に負荷をかけるだけでなく、噛みつかれる原因にもなります。お互いが嫌な思いをしないようにポイントを押さえて行いましょう。